労災の認定基準について
目次
この記事を読んでいるということは、ご自身もしくは身近な人が労働災害に遭われたのではないでしょうか。
仕事中の事故すべてが認定されるとは限らないため、労災認定される基準を知っておく必要があります。
以下説明していきます。
労災と認定されるためのポイント
労災と認定されるかどうかは、「業務遂行性」と「業務起因性」という2つの要件から判断されます。
業務遂行性
労働者が負ったケガや病気が、業務中に起きたといえるかどうかで判断されます。
業務起因性
ケガや病気の原因が仕事にあるのかどうかで判断されます。
例えば、労働者の怪我であれば、
・工場で働く従業員が、仕事中に機械の操作を誤ったために機械に手を挟まれて骨折した
・仕事中に2名で重い荷物を運んでいる際、1名がうっかり手を滑らしたために、もう1名の足の上に荷物が落ちて足の指を骨折した
・勤務移動中に交通事故に遭った
・仕事中客に殴られて怪我をした
などです。
また、労働者の病気であれば、
・医療従事者が業務中に患者を経由してウイルスなどに感染して病気を発症した
・一定の脳と心臓の疾患については、厚生労働省において、「業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した」と認められる場合には、労災による病気と認定されることがあると定められています。
上記基準が適用されるのは次の疾患です。
- 脳内出血
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 高血圧性脳症
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心停止(心臓性突然死を含む)
- 重篤な心不全
- 大動脈解離
精神疾患が労災と認定される場合
仕事上の負担により精神疾患を患う場合もあります。
しかし、精神疾患は、その発症が仕事による強いストレスのせいであると客観的に判断できる場合に限ります。
厚生労働省は、精神疾患の労災認定のための要件を下記の通り定めています。
- 認定基準の対象となる精神疾患を発病したこと
- その精神疾患の発病前、おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷があったこと
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとはいえないこと
個別具体的に判断していかざるを得ず、認定を受けるのはそう簡単ではありません。
労災認定で支給されるお金
以下の通りとなっています。
療養(補償)給付
治療費や薬剤費になります。
休業(補償)給付
労働災害が原因で働けなくなってしまった場合に認められる給付です。
労災発生後3日を除いた休業1日につき給付基礎日額の60%相当額が労働者に支給されます。
休業特別支給金
休業(補償)給付が支給されるとき、さらに休業特別支給金として、休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が上乗せで支給されます。
つまり、労災によるケガまたは病気で仕事を4日以上休んだ場合、休業(補償)給付と併せて休業1日あたり給付基礎日額の80%の支給を受けることができます。
障害(補償)給付
労災によってケガまたは病気となって治療をしたけれども、最終的に一定の障害が残っていた場合に支給されます。
障害(補償)給付の支給内容は、障害の程度により1級から14級までに区分されています。障害等級第1級~第7級に該当する場合は毎年もらえる年金型の支給になります。障害等級第8級から14級に該当する場合は、認定の際にもらえる一時金の支給となります。
傷病(補償)年金
傷病(補償)年金とは、労災によってケガまたは病気になった際に、その治療が1年6か月を経過しても治らず、かつ、その時点での傷病の状態が傷病(補償)年金を受給できる状態にあたる場合に支給されます。
遺族(補償)給付
遺族(補償)給付とは、労働者が労災によって死亡したとき、その遺族に支給される給付金です。
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以上労災の認定基準について述べてきました。
労災に該当するかどうかは、ケースバイケースといえます。
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