脚立・はしごからの転落事故【会社の責任が認められるケースは?】
目次
人によっては日常で普通に使う脚立・はしごですが、作業中に転落して頭部を強打して重い障害が残ってしまうことがあります。
ここでは、そんな脚立・はしごかの転落事故について説明していきます。
1 会社の責任が認められるケース
高さ2メートル超の箇所での作業
労働安全衛生規則518条は、高さ2メートル以上の箇所で作業をさせる場合には、足場等で作業床を設けるか、防網を張る、要求性能墜落制止用器具(いわゆる安全帯のこと)を使用させる等して、墜落・転落の危険を防止する措置をとらなければならないと定めています。
したがって、高さ2メートル超の箇所での脚立・はしごでの作業に際して、これらの転落防止措置を怠っていた場合、会社には明白な法令違反がありますので、安全配慮義務違反は認められ、会社の賠償責任は肯定されるでしょう。
荷物を持ってはしご・脚立を昇降
一人で作業しなければならない状況で、荷物を高所に上げ下ろしするような作業をさせられていたのであれば、そもそも、そのような危険な作業指示をしていた会社の安全配慮義務違反が認められ、会社の賠償責任は肯定される可能性が高いでしょう。
脚立の天板に乗って作業していたところ、バランスを崩した
天板に乗るとバランスを崩しやすいため、一般に危険な作業として禁止されています。
そのような作業をさせていたのであれば、会社の安全配慮義務違反が認められ、会社の賠償責任は肯定される可能性が高いでしょう。
脚立に跨って作業してバランスを崩した
天板上に乗るのと同じく、脚立に跨っての作業もバランスを崩しやすく、一般に危険な作業として禁止されています。
そのような作業をさせていたのであれば、会社の安全配慮義務違反が認められ、会社の賠償責任は肯定される可能性が高いでしょう。
不整形地(凸凹の地面など)で通常の脚立を使用しバランスを崩した
不整形地用の脚立(個々の脚が伸縮可能なもの等)であればよいのですが、そうでない普通の脚立で不整形地で無理に作業をすると、脚立がグラグラしてバランスを崩しやすくなっていまします。
不整形地にもかかわらず、用途にあった脚立が用意されていなかったとなれば、そのような危険な作業をさせた会社の安全配慮義務違反が認められ、会社の賠償責任は肯定される可能性が高いでしょう。
はしごが転位して転落した。
はしごの上部・下部を固定しないとか、脚の滑り止めが剥がれて滑ってしまった等して、はしごが転位して転落してしまうことがあります。
転位防止のための必要な措置がとられていないということは、労働安全衛生規則527条違反であり、会社の安全配慮義務違反は認められ、会社の賠償責任は肯定されるでしょう。
脚立・はしご自体に不具合があった。
はしごや脚立自体の不具合のために転落したのであれば、用意された器具の危険性のために事故が発生したということであり、このような場合、会社の安全配慮義務違反は認められ、会社の賠償責任は肯定されるでしょう。
2 労災保険だけでは不十分
業務中の事故であれば、もちろん労災保険の適用となり、労災保険扱いでの治療が受けられ、休業中は休業補償給付、障害が残ったなら障害補償給付が受けられます。
しかし、労災保険からの給付には、慰謝料(入・通院慰謝料、後遺障害慰謝料)はなく、休業補償も事故前収入と同じだけは得られません。
後遺障害による将来の収入減少への補償が不十分である、といった不十分点があります。
脚立・はしごからの転落労災事故に会社の安全配慮義務違反等があるならば、会社に対して損害賠償請求をすることによって、労災保険給付だけでは不十分な点の賠償(補償)を受けられます。
脚立・はしごからの転落事故でお悩みなら是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
事案に即したアドバイスをさせていただきます。